2017年1月31日火曜日

朗読者ノットイコール語り手

「朗読は語りである」
「朗読は読むのではなく、語らなければならない」
「(朗読を聴いて)いまの語りは○○だった」
等々、ちょくちょく耳にすることばです。
言いたいことはわかりますが…
この‘語る’ということば、丁寧に扱いたいと思います。
小説を朗読する際、朗読者は語り手でありません。
語り手(ものがたりを語る語り手)は、小説の中にいます。
‘語る’のは、小説の中にいる語り手。
朗読者は、‘語る’のではなく‘朗読する’のです(^^)


2017年1月29日日曜日

どんな語り手なんだろう♪

今日の日曜朗読サロンでは、説明的な文章を取り上げました。
朗読は、語り手の語りにふさわしい声を与える作業。ですから、
どんな語り手が、どんな語り振りをするのかを想像します。
説明的な文章の語り手は、優れた論理展開で読者を納得させます。
詩や小説の語り手とは違う語り手がそこにいて、
面白い時間になりました。
こういう文章では、滑舌の良さが物を言います。
翻って、詩や小説では、
滑舌よりもっと大切なものがあります。

2017年1月28日土曜日

石田麻利子CD収録「第一夜」の朗読意図②

夏目漱石作『夢十夜』「第一夜」を、
序破急の構成と考えました。

‘序’は、女のことばが語り手の語りで表現されている部分、
‘破’は、女が登場して自分の声で語る部分
 (鉤括弧で女のセリフが書かれている部分)〜、
‘急’は、百年後の部分です。

序と破では、女によって引き起こされる、
語り手である自分の内面の動揺が面白いと読みました。
女の死を一種の諦観をもって受け入れたとか、
その後の自分の百年間の経緯 を語ったとか、ではなく、
〈女のいない空虚を生きた自分〉を使って、
小説というツールだから生まれ得た百年という時間を読みたい、
と思いました。
小説の中に、現実世界の時間とは違う時間を存在させる試みが
なされている作品として、届けたかった。
聴いてくれる方が、CDの中で現実とは違う時間を生きてくれること、
を願って朗読致しました☆彡

石田麻利子CD収録「第一夜」の朗読意図①

朗読への真摯な取り組みで、尊敬している方から、
次のようなアドバイスを今朝メールで頂きました。

『自己解説してくださった「第一夜」 の朗読意図は
とても面白く素晴らしいと思いました。
CD においても、朗読の前にこのような朗読意図を
トークで 入れておいたら、朗読もさらに面白く、
素晴らしく聴くことができたのではないかと思います』

たいへん有難いです。
CDにトークを収録することはかないませんが、
このブログに記載することにいたします(^^)

2017年1月27日金曜日

セリフ表現より、さらに大切なのは…

小説には、物語を語る語り手がいます。
語り手の語りをどう表現するかが大切!
セリフを頑張るのは、戯曲の朗読です(^^)

小説のセリフ表現

朗読者も俳優と同じく、
登場人物を生きることは大事です。
その上で演じ方を工夫して見せ方を変えます。

 ものすごく印象に残したいシーンなのか、
そうでもないのか…それによって、
登場人物と聴き手との距離を変えるのです。

2017年1月26日木曜日

名鉄カルチャー朗読教室☆5月の発表会に向けて☆

名鉄カルチャー朗読教室の発表会まで、
あと4ヶ月となりました。
今日は、どの作品のどの部分をどなたに朗読して頂くか、
を決めてお伝えしました。
発表会までの日々が、さらなる成長のステップになるよう、
お一人お一人にふさわしい課題をお渡しできたのでは…
と思っています(^^)
きっときっと素敵な朗読発表会になります!
楽しみにしていてください。

近くなりましたら、またご案内いたします♪

語り手がことばで創る舞台

小説の語り手は、舞台美術の仕事もします。
舞台美術家として素晴らしい腕を持つ語り手は、
リアルを超えた情景…
色も光も匂いも温度も湿度も空気の動きも、
周りで聞こえている様々な音も気配も、
感じさせてくれます。ことばだけで!

語り手の声に真摯に耳を傾け、五感をフル稼働させて、
豊かななイメージをつくりましょう。
そこから、朗読の世界が始まっていきます(^^)

2017年1月25日水曜日

朗読するとは、考えること(^^)

ここはゆっくり、ここは速く、
ここは、もっと間をとって、ここはひと息で、
この音はもっと高くから出て…etc
指示された通りに読み上げる技術が身についたら、
ではどうして、そうするのかを考えましょう。
そして、次のステップ。
自分で考えて、自分ならではの朗読にチャレンジです。
あなたのイメージを映す、あなたにしか作れない、
興味深い間や緩急や音が生まれるかもしれません☆


今日はNHKカルチャーでした。皆さんの朗読を聴いて、
あぁ、この方にしかできない表現だわ…
と、幸せな気持ちになりました。
向田邦子さんに聴いて頂きたかった♡

2017年1月24日火曜日

新年お年玉発表会

今日は豊田で、朗読マダムズの新年お年玉発表会でした。
たいへん立派なお年玉をご用意くださいました(^^)
お年玉というのは、声の贈り物のこと。
6〜7分を持ち時間として、
その時間をスピーチと朗読でプロデュースして頂く、
という趣向なのです。
今年もしっかり取り組んで下さって、素晴らしかった!
感動のひとときでした…
語り手の語りにふさわしい音を与えることで、
作品はこんなにも魅力的に輝き、聴き手の心に届くんだ♡
と、励まされる思いが致しました。
豊かな時間に心から感謝☆彡



作品の数々…
朝(谷川俊太郎)
羊と鋼の森(宮下奈都)
九十歳何がめでたい(佐藤愛子)
東・太郎と西・次郎(斎藤隆介)
おさなものがたり(島崎藤村)
ジョン・ピアポントという男(ロバート・フルガム)
銀の匙(中勘助)
郷愁(三好達治)
うそ(中川ひろたか)
大きな木(村上春樹訳)
友達は緑のにおい(工藤直子)
日本百名山(深田久弥)
晴れた空の下で(江國香織)

江國さんの作品も、マダムYの朗読で心に沁みました。


2017年1月22日日曜日

自分で読んだときには気づけなかった…

朗読を聴いて…
この作品ってこんなに素敵だったんだ!
こんなに豊かだったんだ!
と、気づかせてもらえることがあります。
朗読が運んでくれた、作品との嬉しい再会です。
朗読を通して作品の魅力を知り、
あらためて手に取ることもあります。
優れた作品は、宝物を用意し待っていてくれます(^^)

2017年1月21日土曜日

愛知サマーセミナー特別講座「歌を朗読してみよう」

8年ほど前から『愛知サマーセミナー』というイベントに、
特別講座の講師として関わらせて頂いています。
イベントは7月に3日間開催されるのですが、
私の出番は最終日の海の日に決まっていて、
講座のタイトルは「歌を朗読してみよう」です。
プロ歌手のような国語教師の大橋先生がギターの弾き語りをする、
その前に、歌詞を私が朗読するのが基本スタイル。
高校生や、市民の皆さま、朗読マダム朗読ムッシュの皆さまが、
暑い暑い中、足を運んでくださいます。感謝!!
昨年は、「私も朗読したかった」という高校生の感想が印象に残りました。
朗読者と聴き手が響き合い、一緒にイメージを創っていく朗読。
両者が役割を入れ替えながら、作品を深く味わう場になれば幸せです。
寒い寒い季節に、真夏の講座のご案内でした(^^)

2017年1月20日金曜日

きつねの窓

朗読を聴いていると…
朗読者と聴き手である私との間に、作品世界が立ち現れてくるのを感じます。

いま朗読教室では、安房直子さんの「きつねの窓」に取り組んでいます。
やがて、皆さんの朗読を聴くとき、
皆さんと私との間に、どんな「きつねの窓」が生まれるのでしょう?
私一人では見ることのできなかった豊かな世界が見えてくるのが、
もう今から楽しみでなりません(^^)

2017年1月19日木曜日

小説のことばを変更しない

戯曲は、上演を前提に書かれていますが、
小説はそうではありません。

朗読公演で、「わかりやすくするために」
「上演時間がたりないから」等の理由で、
小説のことばを変えたり削ったりする前に、
公演のあり方を考えてみてはいかがでしょう。
朗読の前に、ことばの解説を入れたり、
朗読を区切りのよいところまでにしたり…
いろいろな工夫ができそうです。

小説という芸術は、ことばだけで出来ています。
ことばを変更してまで上演したいのは、なぜかしら…?





文学作品との付き合い方

文学作品はアナウンス原稿ではありません。
ですから、わかりやすく伝達することに止まらず、
深い作品理解に支えられた豊かな音声表現で、
感動を共有できる朗読を目指します。

ふさわしい音を探して、ことばと丁寧に向き合います。
語り手の語り(地の文)に、しっかり耳を傾けます。
語り手の声が聴こえてきます。
自分が聴きたいことだけを聴くのではなく、
語り手が語っていることを、耳を澄まして聴く。
時間をかけて、焦らずに慌てずに諦めずに聴くことが、
深い作品理解につながります。

「朗読を、子どもの国語の授業に取り入れてほしいわ」
と、朗読マダムズ。
「朗読を学ぶ以前は全く読めていなかったと、いま思います。
文学作品を読むって、こういうことなんですね〜」
文学作品との付き合い方を、朗読を通して学ぶ方も、
たくさんいらっしゃいます(^^)




2017年1月17日火曜日

朗読の上演② 〈一座建立〉

朗読公演の際には、''朗読だから出来ること''
''朗読にしか出来ないこと'' を考えます。

演出家が、観客を感動させる舞台を目指すのならば、
私は朗読家として、
(文学作品が与えてくれる)感動を観客と共有する場を目指します。

朗読者のいるところが舞台ではなく、
朗読者と観客がいる会場全体が舞台のイメージです(^^)


2017年1月16日月曜日

ふさわしい音

そのことばにふさわしいのは、どのような音か?
そして・・・
その音で創りたいのは、どのような景色なのか?
その音で描きたいのは、どのような心情なのか?

朗読者それぞれに、“ふさわしいと考える音”があります。
ですから、同じ作品であっても様々な朗読が生まれます。
どれが正しいというのでもない、どれもが唯一無二の朗読。
ことばの芸術である文学作品の朗読は、やはり芸術です。

他者の朗読に、思いがけない音を聴き、
「あ、こういう作品理解のしかたもあるんだ」
と、視野の広がることがあります。
優れた文学作品をテキストにすると、
朗読をしても、朗読を聞いても、豊かになれます(^^)




2017年1月15日日曜日

朗読の上演①

朗読会、リーディング、朗読を聴く会etc
音楽公演が多様なように、朗読公演も様々です。
最近は腹立たしい(笑)ステージ、例えば…
芝居だと大変だからリーディング。
台詞を覚えずにすむし、ラクだから朗読。
はあまり見かけなくなりました(^^)

【朗読だから出来ること。朗読にしか出来ないこと】
を、大切にしていきたいと思います。





''朗読を楽しむ集い”にご参加頂きありがとうございました(^^)

昨日、名古屋は大変冷たい日でしたが、
たくさんの皆さまのお力で、
[朗読をして、朗読を聴いて、朗読について語り合う]
”朗読を楽しむ集い”を開催することができました。
ご参加下さった皆さま、応援して下さった皆さま、
プロデュースして下さったエス・エー企画の浅井さま、
お力貸して下さった皆さまお一人お一人に、
感謝の気持ちいっぱいです♡
心よりありがとうございました!!

2017年1月11日水曜日

世代を超えた宝物

素敵な朗読マダムのお一人から、嬉しいお話を伺いました。
お正月、東京から遊びにいらした中学生のお孫さんと、
ヘッセの「少年の日の思い出」について語り合ったそうです。

朗読を通して作品とじっくり向き合っていたおかげで、
孫娘との話も大いに盛り上ったんですよ。

そうお話しくださる朗読マダムの笑顔は、
見惚れるほど豊かに輝いていらっしゃいました(^^)



2017年1月9日月曜日

朗読で、閉じた読書を開くと…

ナレーション原稿を朗読するナレーションも、
アナウンス原稿を朗読するアナウンスも、
講談や落語・戯曲・朗読劇など上演台本の朗読も、
絵本や民話・物語の朗読も、とっても楽しい!
何を朗読するにしても、そこには刺激や学びがあります。
とくに、優れた小説の朗読は、奥が深くて豊かです☆

ー「黙読」でもいいんじゃない??

もちろん。
ただ、「黙読」という閉じた読書形態では、
いつの間にか、独り善がりな<読み>になりがち…
「朗読」という形で、自分の読みを他者に開くことで、
深い作品理解へのきっかけを得られます。
朗読教室は、読みを深める場でもあるのです(^^)

2017年1月7日土曜日

朗読で身体は変わる!

昨日は、今年第1回目の朗読教室プラス新年会でした。
「朗読のおかげで私の肺活量、凄いんです!」
「朗読のおかげで身体に厚みが出てきました!」etc…
素敵な朗読マダムの皆さまから、身体に関する嬉しいご報告を頂きました。
必ず週に一度は、発声練習を続けていらっしゃる成果です♪
鍛えられた表情筋・腹筋背筋で、笑顔も姿勢もキレイ!
外見も内面も美しい朗読マダムの皆さまと幸せな1日でした(^^)

2017年1月4日水曜日

宮沢賢治「いちょうの実」ー ことばで感性を磨くー

宮沢賢治生誕120年の昨年、NHKカルチャーで、賢治作品の朗読講座を開講しました。
3ヶ月間(6回)で取り組む作品として選んだのは、「いちょうの実」。
一つの景色に何を見て、何を感じ、どんなことばを選び、どう表現するのか…
賢治が紡いだことばを朗読していると、自分の感性が磨かれていくのを感じます。
今年も、感性への水やりを怠らず、ことばにふさわしい音を探し続けます(^_−)−☆

2017年1月2日月曜日

初春のご挨拶

美しい青空が広がり、穏やかに2017年が幕を開けました。
NHKカルチャーの朗読講座は6日スタート。
14日には「朗読を楽しむ集い」が開催されます(ご予約は、エス・エー企画の浅井さま080-3065-3070へお電話を)。
今年も、朗読と文学の魅力をお届けして参ります。
どうぞよろしくお付き合いくださいませ☆