2021年3月14日日曜日

NHKカルチャー日曜レッスン

 日曜午後の日曜朗読サロン。さまざまなお仕事、さまざまなお立場の皆さまがご受講くださっています。皆さま、いつも楽しい時間をありがとうございます(^^)

今日は、「読み(文学受容)」の自己化についてお話をしました。他人の話を聞くとき自分の聞きたいように聞き、モノを見るとき自分の見たいように見るのと同じように、私たちは小説を読むときも自分の読みたいように読んでしまいがちです。もちろん自分では気づかずに、です。大切なのは自分の靴を脱ぐことでしたね。そして、語り手がどのような靴を履いているのかをじっくりと調べること。何度も何度もテクストと真摯に向き合ううちに語り手がわかってきます。自分一人では難しいかもしれません。でも、ご一緒に取り組むうちにきっとわかってきます。そうしたら、語り手の靴を履いて世界を見てみましょう。エンパシーの能力を磨くのは、やはり読書ですね!

朗読の聴き方についてもお話をしました。「先生の朗読を聴いて、間が大切なのだと学びました」とおっしゃってくださったけれど…そうではないと。語り芸を聴くときのように、表面に現れる間や緩急などを聴いている場合ではないことを繰り返しました。これまでにも、朗読を聴くとき、意識は朗読者にではなく自分に向けるようにとお話ししてきました。わかりづらいでしょうか、なかなか届きません。焦らず慌てず諦めず時間をかけてお話ししていきますね。小説の朗読を聴いて学ぶべきは、自分とは違う作品受容のあり様です。そのために語り手を追体験している朗読者とともに作品世界に行かなければなりません。朗読者との間に壁を作って(朗読者は表現する人で、私はそれを受け取る人)朗読者から与えられて終わりではもったいない。あなたも必死になって語り手を追体験するから、〈朗読を聴くという読書〉が演劇・映画鑑賞を超える自分自身の体験✨となるのです。美術ギャラリーで、絵画を見るのではなく絵画を照らしている照明を見てどうしますか!それと同じ。小説を照らすだけの朗読に焦点を当て、肝心の小説を味わうことを放棄するとは…本末転倒。とても残念です。文学作品の朗読は語り芸ではないという前提を受け入れることができると、豊かな読書が生まれますね。そんなお話をいたしました(^^) 

いま取り組んでいる『雪おんな』の朗読を通して、語り手を追体験することを身体で学びましょう ♫ 次回のレッスンは、巳之吉が顔に降りかかる雪で目を覚ますところからですね。皆さまの朗読を楽しみにしています!

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