「刺青」の主な登場人物は、腕ききの若い刺青師・清吉
と、年頃十六か七の美しい娘。二人の出会いは特徴的で、
清吉が見初めるのは、なんと娘の足です。駕籠のすだれの
かげからこぼれる真っ白な女の素足を見て、彼は恋に落ち
ます。そしてその憧れごこちが、十月十日ほど時を経て、
激しき恋に育った頃に、娘と邂逅するのです。
娘の足について饒舌だった語り手ですが、娘の登場後は、
彼女の身体についてほとんど語りません
「物凄く整っ」た顔を持った娘は、瞳を輝かせたり、唇を
わななかせたりはするけれど、いったいどんな身体をして
いるのか…語らずに隠すことで、読者の欲望を掻き立て、
さらなる欲望を引き寄せているのでしょうか。
ラストに、ただ、「女の背は燦爛とした。」とだけ………
29日に5Rホールで女の背中が輝きますように☆
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