2022年2月11日金曜日

宮沢賢治『おきなぐさ』

小説には、物語る[語り手]が必要です。通常、作者の創り出す[語り手]は[作者]と同一ではありませんが、宮沢賢治の『おきなぐさ』に関しては、語り手は作者の宮沢賢治だと思われてなりません。

この作品の主役は、二輪のうずのしゅげ(学名・おきなぐさ)です。彼らの姿には、ともに生きて、ともに心を震わせたであろう賢治と妹トシの姿が重なります。風に乗って旅立った彼らを一番近くで見送ったひばりも、きっと賢治の分身なのでしょう。そして、岩手の豊かな自然のなかで繰り広げられたこの繊細なドラマを見届け、さらに、うずのしゅげの魂に安住の場所を与えた語り手も、もちろん賢治。
彼はこの作品を創作することで、最愛の妹の死をようやく受け入れることができたのかもしれません。

『おきなぐさ』の読書体験は、身を裂かれるような悲痛な別れを、宝石のように輝き続ける美しい思い出に変えてくれると確信しています。例えば…正確な情報を読者にわかりやすく届けようと書かれた新聞の文章を読むときと同じように『おきなぐさ』を読んでいては、読書体験にはなりません。観察力や洞察力、想像力を使って作品理解に努めることで、読書はかけがえのない体験になります✨朗読教室ならびに文学賞味会で、『おきなぐさ』の読書をさらにダイナミックな体験にするお手伝いができたら幸せです。
言葉が創り出す豊かな世界をご一緒に愉しみましょう(^^♪

3 件のコメント:

  1. 3月7日の文学賞味会の開催場所について詳しく教えて下さい。

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  2. 場所は分かりました。申し込み方法について教えて下さい。

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  3. お返事遅くなってごめんなさい。携帯090-1293-0925にご連絡くださいませ。よろしくお願いいたします(^^)

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