2022年9月26日月曜日

進化系朗読

YouTubeの番組『日経テレ東大学』に、羽田圭介さんがゲスト出演された昨日9月25日の回、それぞれのお話にとても共感しました。皆さまもぜひご覧くださいね。
私たちが取り組んでいる心に響く朗読は、イェール大学 成田先生の発言にある【進化系朗読コンテンツ】ですね!
以下、番組案内を転記します(^^)
何を問題とするか?何を問うか?
今回は芥川賞作家 羽田圭介が参戦!
作家のリアル…金銭事情を赤裸々告白!
▼小説家はコスパの悪い報われない仕事?
▼バス旅の反省
▼なぜ小説を書き続けるのか?
▼“言葉”の持つ力と可能性
▼国語教育のあるべき姿とは?
小説の魅力を語り尽くす!文学でワクワクする雑談!

2022年9月20日火曜日

誰の言葉?言語主体は誰?

文字言語と音声言語の繋がり方は多様ですね。音声言語になって完成する文字言語もあれば、すでに完成している文字言語もあって…。二分されているというより、グラデーションになっている感じがします。

アナウンス原稿・お芝居や語り芸の台本などの文字言語は、音声言語となって完成するものの代表です。音声言語として聞き手や観客に届きます。
一方で文学作品、優れた小説等の文字言語は、立派な完成品といえます。文字言語として読者に届くものです。

朗読者である私の意識のありようは、どのような文字言語を朗読するかによってずいぶん変わります。
私自身が言語主体となる場合には、「どのように音声表現しようか?」という問いが生まれますが、言語主体になれない場合には、「言語主体の〈語り手〉はどのように表現しているのだろうか?」という問いの答えを探し続けることになります。

朗読教室を始めた2001年当時は、朗読は音声表現だと思い込んでいて、目の前に並ぶ文字列がどのような文字言語なのか考えることもなく、文学作品を朗読する際にも、「さあ、朗読者の私たちが音声表現しましょう!」と受講者の皆さまにお話ししていたかもしれません…。残念ながら、そのような取り組み方では「心に響く朗読」は生まれません。言語の主体に寄り添えていないのですから。

現在の「心に響く朗読」教室は、数百名もの受講者の皆さまとともに、時間とエネルギーをかけて地道に創り育ててきた、かけがえのない大切なクラスです。クラスの皆さまお一人お一人が、他者理解を大切にしながら脳をバージョンアップして、長い人生を豊かに楽しんでくださることを願いながら小さな一歩を重ねて前に進んでいます。
朗読の道を共に歩いてくださるたくさんの素敵な皆さまに感謝して、今日からまた清々しい気持ちで精進してまいります(^^♪

2022年9月2日金曜日

宮沢賢治『いちょうの実』

私たちは小説や物語を読むとき、 “想像して考える” “考えて想像する” を繰り返しています。
〈語り手〉はいったいどのような景色(作品世界)を読者に体験させたいと思って語ってくれているのだろう…?

9月27日(火)の午後、豊田で宮沢賢治の『いちょうの実』を読みます。以下に冒頭の部分を書き写しますね。

「そらのてっぺんなんか冷たくて冷たくてまるでカチカチの灼きをかけた鋼です。
そして星がいっぱいです。けれども東の空はもう優しい桔梗の花びらのようにあやしい底光りをはじめました。
その明け方の空の下、ひるの鳥でも行かない高い所を鋭い霜のかけらが風に流されてサラサラサラサラ南の方へ飛んで行きました。
実にその微かな音が丘の上の一本いちょうの木に聞こえるくらい澄み切った明け方です。」

〈語り手〉が、読者の脳内に創り上げようとする明け方は、なんて壮大な、そして繊細な世界なのでしょう…
この後に主人公たちが登場しドラマが始まるわけですが、冒頭のこの部分だけでも、賢治のイメージの豊かさにうっとりしてしまいます。
たくさんの皆さまと賢治の作品世界をご一緒できますように☆彡

お問い合わせ:豊田中日文化センター【TEL 0120-98-2841】