文字言語と音声言語の繋がり方は多様ですね。音声言語になって完成する文字言語もあれば、すでに完成している文字言語もあって…。二分されているというより、グラデーションになっている感じがします。
アナウンス原稿・お芝居や語り芸の台本などの文字言語は、音声言語となって完成するものの代表です。音声言語として聞き手や観客に届きます。
一方で文学作品、優れた小説等の文字言語は、立派な完成品といえます。文字言語として読者に届くものです。
朗読者である私の意識のありようは、どのような文字言語を朗読するかによってずいぶん変わります。
私自身が言語主体となる場合には、「どのように音声表現しようか?」という問いが生まれますが、言語主体になれない場合には、「言語主体の〈語り手〉はどのように表現しているのだろうか?」という問いの答えを探し続けることになります。
朗読教室を始めた2001年当時は、朗読は音声表現だと思い込んでいて、目の前に並ぶ文字列がどのような文字言語なのか考えることもなく、文学作品を朗読する際にも、「さあ、朗読者の私たちが音声表現しましょう!」と受講者の皆さまにお話ししていたかもしれません…。残念ながら、そのような取り組み方では「心に響く朗読」は生まれません。言語の主体に寄り添えていないのですから。
現在の「心に響く朗読」教室は、数百名もの受講者の皆さまとともに、時間とエネルギーをかけて地道に創り育ててきた、かけがえのない大切なクラスです。クラスの皆さまお一人お一人が、他者理解を大切にしながら脳をバージョンアップして、長い人生を豊かに楽しんでくださることを願いながら小さな一歩を重ねて前に進んでいます。
朗読の道を共に歩いてくださるたくさんの素敵な皆さまに感謝して、今日からまた清々しい気持ちで精進してまいります(^^♪
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