2019年8月31日土曜日

川上弘美さんの「神様」の朗読

朗読教室のFさまがお持ちくださった「神様」(川上弘美
さん・作)をテクストに、発表会に向け励んでいます(^^)

書き出しの文章は「くまにさそわれて散歩に出る」です。
ここだけでも、語り手である〈わたし〉にとても心惹かれ
ます。どんな考え方・感じ方をする〈わたし〉かしら?
語る言葉を頼りに〈わたし〉に迫ってまいりましょう♫

三つ隣の305号室に引っ越してきたくまから引越し蕎麦を
受け取ったときのシーン、散歩の往路のシーン、いっしょ
に川原で弁当を食べるシーンetcさまざまな魅力的なシーン
が語られますが、それらの中でも〈わたし〉が1人で川の
ふちに立って水中を見るシーンは、朗読者の腕(声⁉︎)の
見せどころの一つだと思います。数行を抜粋してみます。


小さな細い魚がすいすい泳いでいる。水の冷気がほてった
顔に心地よい。よく見ると魚は一定の幅の中で上流へ泳ぎ
また下流へ泳ぐ。細長い四角の辺をたどっているように見
える。その四角が魚の縄張りなのだろう。くまも、じっと
水の中を見ている。何を見ているのか。くまの目にも水の
中は人間と同じに見えているのだろうか。


こう語っているのは、語り手の〈わたし〉です。朗読者の
わたしが語っているわけではありません。〈わたし〉は、
どのような心情・表情で語っているのだろうか…
朗読者のわたしが、この作品の語り手である〈わたし〉に
しっかりと寄り添うところから、朗読は始まります(^^)

2019年8月21日水曜日

朗読ってほんとステキ✨

「朗読って…文学作品を豊かに味わうための、とっておき
の方法なんだ✨」
今日も、朗読教室のすてきな皆さまとお稽古するなかで、
朗読が有するポテンシャルに心がときめきました(^^♪

声を取り戻した言葉は、五感をたっぷりと刺激してくれて
、さまざまな(ときには鮮やかな、ときには霞がかかった
ような)映像が、目の前に(ときには身体を包み込むかの
ように)広がります。匂いも感じられるし、温度も湿度も
感じられます。触り心地だって感じてしまう!想像力って
こんなにもすごい!想像力を育てて開花させる朗読って、
なんて素晴らしいんでしょう……

喜びと感動を与えてくれる朗読に、心から感謝です(^^)
ご一緒くださる皆さま、幾重にもありがとうございます✨

2019年8月17日土曜日

文学賞味会、今年はチェーホフ✨

お盆の期間はレギュラーの朗読教室がお休みでしたので、
12月の文学賞味会で取り上げるチェーホフ『たわむれ』と
ただひたすらに〈たわむれて〉おりました(^^♪
今回も翻訳を見直すところから始めています。たった一つ
の言葉が、異なる心象風景を創り出してしまいます。翻訳
という作業は朗読と大変よく似ていて…勉強になります!

2019年8月7日水曜日

11月8日(金曜)hitomiホールにて発表会✨

NHKカルチャー名古屋の朗読教室 研究クラスの発表会✨
今年は 11月8日(金)にhitomiホールで開催いたします。
発表会に向けたレッスンを始めましたが、ほんと楽しい!
どなたも力をつけてくださっているのが、しっかりと心に
響いてきます。お越しくださる皆さまと、豊かな時空間を
ご一緒できるよう、心を合わせ力を合わせて励みます(^^♪

ちなみに文学賞味会は、1ヶ月後の12月8日(日)です。
こちらも どうぞよろしくお願い申し上げます☆彡

2019年8月2日金曜日

語彙力UPを目指して(^^)

江戸後期から明治初年に日本を訪れた欧米の人は、日本人
の識字率の高さに驚いたそうですが、この識字率の高さは
「往来物」がうまく機能したからだと、山口謠司先生の本
で読みました。「往来物」とは、平安時代から重宝された
手紙や文書の雛形・教科書です。たとえば…『庭訓往来』
は教科書にも載っていたような気がします。書簡の書き方
を雛形に、当時の人たちは文字と語彙を学んだのですね。
でも「往来物」だけでは語彙は増えていきません。

「語彙力をつけるというのは知性を身につけること」と、
山口先生はおっしゃいます。では、どのようにして語彙力
を高めるか?根源的に語彙力をつけるためには、英語なら
ラテン語、日本語なら漢字や漢語を学ぶことが大切だと
書かれています。「急がば回れ」ということですね ^^;

「人と話しながら語彙力を高めていくことはとても大事」
だとも。語彙の「彙」は、「ハリネズミ」を表す漢字で、
「針がいっぱい出ている」その姿が、「広く出ていく」と
いう意味に繋がります。だから、言葉の集まりを「語彙」
というのですね。一つの言葉を核として、どんどん広がる
語彙。言葉の針は、使わずにいると錆びてしまいますから
、楽しみながらどんどん使っていけるといいですね!

いつも思っていることですが、豊かな言語環境に身を置く
のはとても大切。文学作品の朗読はもっとも有効な手立て
の一つです。今日も感謝して、朗読に励みます(^^♪