2022年11月30日水曜日

林真理子さんの『成熟スイッチ』

林真理子さんの『成熟スイッチ』を楽しく拝読しました。この本の中で、第三者の視点で書く小説について、以下のようなことを語っていらっしゃいます。

【一人称とは違って、俯瞰するカメラが必要になり、そのカメラをどこに据えるか?どのような順番でカメラの位置を変えていくか?プロとしてのテクニックがいっそう求められる。】

私たち朗読者は、例えば…芥川龍之介の小説を読むとき、考え抜かれたカメラワークの素晴らしさに、ただただ感動します。「ああ、だからここで読点なのですね!ここで棒線なのですね!」等々と心震わせながら、〈語り手〉の深い企図を汲み取っていきます。朗読という読書の愉悦…

林真理子さんの言葉を伺って、真理子さんの三人称小説もぜひ朗読してみたいと思いました(^^)

2022年11月13日日曜日

朗読家の朗読 (^^♪

さまざまなアナウンサーや俳優の方と、朗読&音楽のコラボレーションをしている音楽家の方が、「麻利子さんの朗読は他の人とは違う」と、首を傾げておっしゃいます。

もちろん違うでしょう。なぜなら…
アナウンサーの方は【伝達行為】として、俳優さんは【表現行為】として、文学作品を朗読しがちだからです。そういうご職業なのだから仕方がないのかもしれませんね…
私は朗読家ですから、文学作品の〈語り手〉を追体験します。ただただ〈語り手〉に、私の身体を提供することに徹します。その結果として生まれる朗読が、アナウンサーや俳優の朗読と違うのは、当たり前です。

アナウンス朗読や表現朗読をしていては、作品理解を深めることはできません。自分の靴を履いたままでは、他者である〈語り手〉を理解することも、追体験することも難しい。
自分の靴を脱いで、他者である〈語り手〉の靴を履くのは、最初は簡単ではありません。でも、文学作品を朗読する際には必須の技術です。私には、貴方がこの技術を身につけるお手伝いができます。なぜって…私は朗読家ですから、ね (^^)

2022年11月1日火曜日

小説のこと

 映画に絵があって音があるように、小説にも絵があって音があります。匂いもあります。もっともっといろいろあります(^^♪

言葉で創り上げられた虚構世界の小説は、作者が自身の[脳内イメージ]を反映させたもの。さまざまな形で読者の五感を刺激します。
優れた作者は、豊かな[脳内イメージ]を、自身の[言語表現]と一致させることができるのでしょう。[脳内イメージ]と[言語表現]とは、1枚のコインの裏表のように分離させることができない関係にあるのですね。

私たち読者が、小説という[言語表現]、すなわち私たちの眼前に並ぶ文字列をしっかり享受できたならば、作者の[脳内イメージ]を、そのままではなくともかなり近い状態で、自分の脳内に創り上げることができます。
でも、自分の靴を履いたままでは、なかなか、簡単ではありません。

では、優れた小説を深く豊かに味わうためにはどうすればいいか?

自分の靴を脱いで、〈語り手〉の靴を履いて、〈作品世界〉を体験できるといいですね。
私は朗読家ですから、大好きな朗読を通して、文学を深く味わうお手伝いをします。受け継がれてきた宝物の文学は、私たちの人生をすこぶる豊かにしてくれます。日本の財産を、次世代へとしっかり手渡していけますように(^^)