言葉を大切にしたいと考えています。それは、その言葉を発した人=言語の主体を大切にすること。
言葉によって、読者の脳内に作品世界を創り上げ文学体験を誘うのが小説です。文字言語で読者に語るのが、小説の〈語り手〉です。音声言語では語りません。ですから小説を、音声言語で届けようとするのは、文字言語の主体である〈語り手〉を蔑ろにする行為だと自覚せねばなりません。音声では届けられないのが小説なのです。
朗読するとは、〈語り手〉を追体験する行為です。
何のために朗読するのか?
それは、頭のみならず身体を使うことで〈語り手〉理解をさらに深めるため。それと同時に、自分の頭の中にある、自分が鮮やかに体験している虚構の〈作品世界〉を、朗読を聴く読者に開示するためです。
朗読を聴いて生まれるさまざまな共感や違和感は、作品理解を深める話し合いを私たちに促してくれます。朗読のある読書の場は、とてもとても豊かです(^^)
小説は上演台本ではありません。言語の主体である〈語り手〉に敬意を持つことから、朗読はスタートします✨